アキタの鳥インフルエンザ(AI)対策
2019年4月1日
株式会社アキタフーズ
獣医師 水村芳弘

鳥インフルエンザ(以下、AIと言います)には、死亡率が高く発見の容易な高病原性(以下、HP)AIと死亡率が低いために発見が遅くなる低病原性(以下、LPと言います)があります。2014年4月には熊本県のブロイラーで韓国と同じH5N8亜型のHPAIが発生し、中国ではH7N9亜型のLPAIウイルスが多くのヒトに感染し、問題となっています。

 この様なことが起こらないために、アキタではAIウイルスの侵入防止と早期発見を厳格に実施しています。

1.バイオセキュリティ(衛生管理)(感染防止/侵入経路の遮断)

 ワクチンの使用が認められていない現状では、万一、少量(数)と言えどもAIウイルスが農場に持ち込まれたら最後、発病は避けられません。

 従って、AI対策は、ウイルスが農場内に持ち込まれることのないように、衛生管理(バイオセキュリティ)を徹底することに尽きます。この目的のため、アキタでは世界でも例を見ない厳重で徹底した衛生管理を実行しています。

(例1)鶏の管理者は、私服⇒場内着・場内帽・場内靴⇒舎内着・舎内帽・舎内靴に着替え、舎内着と靴の消毒、手指の消毒をして鶏舎に入る。

(例2)入場者は事前に社長の許可を得た後、シャワー(洗髪)後、農場で準備した下着・ツナギ・帽子・長靴を着用して農場に入る。(鶏舎への入場はできない。)

(例3)飼料運搬車、鶏卵運搬車等の入場車輌は、専任の消毒担当者が車体、運転手並びに運転席を消毒する。
また、運転手は、農場で準備したツナギと長靴を着用して作業する。

(例4)廃鶏(飼育期間の終了した老鶏)は農場外の専用の施設(廃鶏出荷基地)まで自社で搬出し、この基地で廃鶏業者のコンテナに詰め替える。

2.鶏病専門の獣医師による健康管理(早期発見)

 AIを始めとして、鶏の病気は症状や病変が互いに良く似ている場合が多いため、鶏病の診断には鶏病専門の獣医師による診察と研究所における抗体検査やウイルス検査等が不可欠です。

 アキタでは、自社研究所のバックアップのもと、野外における経験豊富な鶏病専門の獣医師が定期的に農場を巡回し、常に、鶏の健康状態及び生産記録に異常がないかをチェックしています。

3.抗体検査(モニタリング)(早期発見)

 鶏がAIを始めとした全ての鶏病に感染或いは発病した後には、体内(血液中)には、必ず、それぞれの鶏病に感染した痕跡が残ります。この痕跡を抗体といい、1つの病原体ごとに1つずつ抗体が作られます。この抗体と病原体(抗原といいます)とは特異的に反応し、「鍵と鍵穴」の関係に例えられます。

従って、AIに対する抗体の有無の検査を行えば、AIの感染が有ったか、或いは、無かったかを知ることが出来ます。